「相続税の制度」に関するお役立ち情報
誰が相続税の申告・納税をするのですか
1 相続税の申告をしなければならない人とは
相続税の申告と納税は,相続または遺贈により取得した財産(被相続人の死亡前3年以内に被相続人から贈与により取得した財産を含みます。)の合計額が,基礎控除額を超える場合に必要となります(このほか,相続時精算課税制度の適用を受けて贈与により取得した財産の額の合計が,基礎控除額を超えた場合も,申告・納税が必要です。)。
相続財産の合計額が基礎控除額を超えなかった場合は,相続税は発生しませんし,そもそも相続税の申告も不要となります。
2 相続税の基礎控除額
相続税の基礎控除額は,平成27年1月1日以降に被相続人が死亡した場合は,3000万円 +600万円 × 法定相続人の数になります。
3 配偶者控除
基礎控除以外にも,相続税の控除についての制度がありますが,その1つが配偶者控除です。
配偶者控除とは,被相続人の配偶者が取得した遺産額が,遺産総額に配偶者の相続分を乗じて計算した金額以下であるか,1億6000万円以下である場合,相続税の申告を行えば,相続税が課税されないという制度です。
上記のとおり,配偶者が遺産分割や遺言などにより実際に取得した財産の額をもとに,配偶者控除が適用されることになっていますので,相続税の申告期限までに遺産分割が終了していない場合は,これを適用することはできません。
ただし,相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し,申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは,更正の請求を行い,配偶者控除の適用を受けることができます。
さらに,申告期限から3年以内に分割できなかった場合であっても,相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり,一定の期間内に「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請証拠説明書」を提出した場合で,その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に更正の請求を行ったときも,配偶者控除が適用されます。
1つ注意すべき点は,遺産総額が前述した基礎控除額以下であれば,相続税の申告は不要ですが,配偶者控除を受ける場合には,結果として相続税がかからない場合であっても,相続税の申告をしなければならないという点です。
これを勘違いして,配偶者控除によって相続税がかからないと考え,申告を怠った場合は,配偶者控除が受けられなくなるだけでなく,無申告加算税が課せられることとなりますので,注意しましょう。